育児休業前の面談は、従業員が安心して休業へ入るための重要なステップであり、同時に管理職にとっては業務の引き継ぎや復職後の働き方をスムーズにするための機会でもあります。しかし実際には、形式的な確認だけで終わってしまうケースも少なくありません。そこで求められるのが、より実務的で前向きな面談設計です。 現場では、「何を聞けばよいかわからない」「従業員が遠慮して本音を話さない」「復職後の働き方の不安が解消できない」といった課題が指摘されています。こうした状況を変えるためには、面談の目的を整理し、対話の質を高めるための工夫が不可欠となっています。
導入のまとめとして、育休前面談を有意義にするには目的の整理・質問内容の明確化・心理的安全性の確保 の3点を押さえることが重要です。本記事では、育休前面談のポイント、質問例、チェックリストを実務レベルでまとめております。
育休前面談が形式化する問題と改善の視点
育休前面談が十分に機能していない背景には、管理職側の知識不足、従業員側の遠慮、制度理解の不足など複数の要因があるとされています。本章では、それらの課題を整理しながら、改善するための視点を提示します。
形式的な確認で終わり、悩みが共有されない
従業員は「迷惑をかけたくない」という心理が働き、本音を話しづらい傾向があります。その結果、復職後の働き方やキャリアについて十分な相談ができず、育休明けに負荷が集中してしまうケースが生じています。 心理的安全性の確保が不可欠であり、管理職の問いかけ方によって面談の質が大きく変わると指摘されています。
復職後の働き方の不安が解消されない
「どの業務が継続されるか」「時短勤務でどこまで任せてもらえるか」など、従業員は復職に対する不安を抱えています。この不安の根本原因は、情報不足や期待値の不一致です。 従業員がキャリアを継続するためには、事前に役割や業務体制をすり合わせるプロセスが不可欠です。
業務の属人化で引き継ぎが円滑に進まない
業務が個々人に依存していると、育休前の引き継ぎで負荷が増加します。これは、業務整理の不足が根本的な理由となっています。引き継ぎが曖昧なまま育休に入り、戻った際に「別の業務になっていた」「以前の情報が失われていた」という課題が起きやすくなります。
管理職が制度を理解していない
育休制度は細かく複雑なため、管理職の理解不足が従業員の不安につながるケースがあります。制度の誤った説明は、誤解や不信につながる可能性もあり、基礎知識の習得が管理職の重要な責務となっています。
実務で使える面談の進め方と質問例
ここでは、実際の企業での取り組みを参考にし、管理職が「今日から使える」質問例やチェックリストを紹介します。面談の質を高めるには、本人の状況・業務体制・復職後の見通しという3点を整理することが有効とされています。
面談の流れを明確にする
以下の流れを設定することで、面談がスムーズになります。
- 現在の体調と働き方の確認
- 休業期間の予定確認
- 業務の引き継ぎ内容の整理
- 復職後の働き方のすり合わせ
- 不安点・相談事項の共有
実務で使える質問例
| 現在の体調や働き方で負担を感じる部分はありますか? | 無理のない勤務調整が可能か確認するため |
| 引き継ぎが必要な業務を一緒に整理してみましょうか? | 属人化の解消と円滑な引き継ぎのため |
| 復職後に希望する働き方や不安はありますか? | 働き方の調整と心理的支援のため |
このように、目的を持った質問を行うことが面談の質を向上させます。また、 従業員のキャリア意欲を尊重する姿勢 が信頼関係の構築に欠かせません。
チェックリストで抜け漏れを防ぐ
以下に、管理職が面談前に準備すべきチェック項目を整理します。
- 育休制度の基本情報を理解しているか
- 引き継ぎスケジュールを設計できるか
- 復職後の働き方の選択肢を把握しているか
- 従業員のキャリア意欲を尊重する姿勢があるか
- 面談時間を十分に確保しているか
こうした準備により、面談の質が自然と高まり、従業員の安心感につながります。
育休前面談の価値を最大化するためのまとめ
育休前面談は単なる義務ではなく、従業員のキャリア継続と企業の組織力を強化する大切なプロセスです。本記事で紹介したように、 目的の明確化・質問例の活用・チェックリストによる準備 が重要なポイントとなっています。 管理職が丁寧に向き合うことで、育休後の離職防止やエンゲージメント向上にも寄与するとされています。
そのためにも、ぜひ、本記事で解説した具体的な質問例とチェックリストを実践ください。
(執筆・編集:エムダブ編集部)

