vol.02 | 第2回:転校準備は“名もなきタスク”の宝庫。新しい学校へ通うまでに必要な、母の底知れぬ調整力

前回は、夫の転勤が決まった直後に妻へ集中する「見えない実務と責任」について伺いました。今回は、引っ越しの中でも特に負担が大きい「子供の転校手続き」に注目します。書類を揃えるだけでは終わらない、親としての葛藤について、全3回でお送りするインタビューの2回目をお届けします!

目次

書類だけでは終わらない、転校準備の本当の大変さ

Q. 転校手続きで、特に負担が大きいと感じたのはどんなところですか?

Aさん 書類の準備はもちろんですが、それ以上に子供の生活に直結する細かい確認が膨大にあることです。学用品の指定、給食のルール、通学路の安全性、学童の空き状況。自治体や学校によってルールが全く異なるため、ひとつずつ自分で問い合わせる必要があります。

ひとつひとつは小さく見えても、親としては「抜け漏れがあって子供に不便な思いをさせたくない」という一心で確認を続けます。引っ越し準備と並行してこれらをこなすのは、常に気を張ったままで正直かなりしんどかったです。

今振り返ると、事務的な作業以上に「子供の日常を壊さないように整える」というプレッシャーが、自分を追い込んでいた気がします。学校からの連絡を待つのではなく、自分から動かないと何も進まない焦りもありましたね。

実際転入先の学校に準備物などをお伺いしても「前の学校で使ってたものをとりあえず持ってきてもらって・・・」みたいなスタンスが多かったんですが、親としては足りないものがあったり、恥ずかしい思いをしないように・・・など気を使ってましたね。このあたりは子供の性格をみて判断しても良いかもしれません。私の子供は忘れ物しても全く動じない子供だったので、逆に困りましたけれど笑

小学校の高学年になると、前の学年から使っていた地図帳や資料集などがあったりするので、そのあたりも確認しおくのがおすすめです。

「大丈夫」の裏にある、子供の寂しさに寄り添う難しさ

Q. お子さんの気持ちのフォローで、悩んだことはありますか?

Aさん 私の子供はわりとマイペースでおおらかなので最初の転校はそれほど気にしてないようでした。実際すぐ馴染めたのですが、さすがにその2年後にまた転校が決まった時は大変でしたね。

新小5のタイミングという高学年からの転入というのも、難しそうに思ったのか「行きたくない」と泣かれました。なんとかポジティブな言葉をかけて本人も少し前向きに捉えてくれるようになりました。(結果転入先にもすぐ慣れたのですが)

ただ子供なりに「大丈夫」と頑張って受け止めようとする姿を見ると、親として本当に胸が痛みました。仲の良い友達と離れる不安を、子供は言葉にできないことも多いですから。

かくいう自分にとっても新生活で不安がないわけでもないですし。子供の前では落ち着いていたいのに、頭の中はタスクでいっぱいで。本当はもっとゆっくり話を聞きたいのに、現実は手続きに追われて丁寧に向き合う時間を十分に取れない。そのバランスがとても難しかったです。

親である自分も不安なのに、その不安は後回しにして子供を支えなければいけない。それが、転校対応の中でいちばん精神的に削られる部分だったと感じています。親としての無力感を感じる瞬間もありました。

「一人で抱え込まない」ことが、家族を守る第一歩

Q. 同じように転校を経験するご家庭に伝えたいことはありますか?

Aさん うまくやろうとしすぎなくていい、ということです。親としては、手続きも完璧に、子供のフォローも完璧に、と思いがちですが、全部を一人でこなすのは不可能です。大変だと感じるのは当然だし、気持ちが追いつかないことがあっても自然なことだと思います。

家族のためにと頑張る人ほど自分を後回しにしますが、親が疲れ切ってしまうと支えるのも難しくなります。だからこそ、夫婦で役割を分けたり、周囲に頼ったりして、一人で抱え込まないことが本当に大事。まずは「今、自分はすごく頑張っているんだ」と認めてあげてほしいですね。

完璧を目指すのをやめて、「なんとかなる」と割り切る勇気を持つこと。それが結果的に、子供に安心感を与える近道になるのではないかと、今振り返ると思います。

子供の環境を整えるために奔走する一方で、Aさん自身も「一人の働く女性」としての葛藤を抱えていました。最終回となる次回は、転勤が妻のキャリアに与える影響について伺います。続きをお楽しみに!

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