夫の転勤という突然のライフイベント。住まい探しから各種手続きまで、その多くを担うのは妻であるケースが少なくありません。今回は、度重なる転勤を経験してきたAさんに、辞令直後の混乱と「見えない負担」について詳しくお話を伺いました。全3回でお送りするインタビューの1回目をお届けします!
Aさんのプロフィール
数年おきに広域転勤を繰り返す夫を支える1児の母。自身も仕事を続けながら、これまでに4度の引っ越しを経験。新しい土地でのコミュニティ作りや、子供の転校対応に奮闘してきた、前向きかつ現実派のワーママです。
驚く暇もなく動き出す、転勤生活のシビアな現実
Q. ご主人の転勤は、どのように知らされることが多いですか?
Aさん 本当に突然なんですよ。夫からある日急に「転勤が決まった」「来月には引っ越しになる」と伝えられて、そこから一気に現実が動き出す感覚です。家族として具体的に動けるほどの情報は、事前にはほとんどありません。
こちらとしては、心の準備をする時間もほとんどないのが正直なところです。けれど、決まった以上はすぐに住まい探しや手続きを進めなければいけない。驚く暇もなく、まずは動かないといけないというのが毎回の現実です。
今振り返ると、あの嵐の前の静けさが破れる瞬間は、何度経験しても慣れませんね。感情が追いつく前に、無意識にTODOリストを書き出している自分がいます。驚く暇すら奪われるのが、転勤辞令のリアルだと感じています。
転勤するのは夫なのに、実務が妻に集中する理由
Q. 転勤が決まった直後、特に大変になるのはどんなことですか?
Aさん いちばん大変なのは、やることが一度に押し寄せてくることです。新居探し、退去準備、業者手配、ライフラインの手続き。これらが全部同時進行になります。
特に新居が決まらないと子どもの転入先も決まらないので、とりもあえず住む物件を決めるのが一番優先度が高く、かつ大変ですね。土地勘がない場合は特に苦労します。私は不動産屋に行く前に事前にネットなどで住みやすそうな校区や転勤族が多そうなエリアを調べます。転勤族が多く住むエリアは学校や周りの家庭も子どもの転入転出に慣れていたり、周辺施設も整っているイメージです。
ただ転勤の多い時期だとそもそも物件の空きもなかったり、退去が入居前ギリギリになったり、実際広島に転勤した時は希望の物件は内覧できず、写真だけ見て決めました。
しかも、夫は転勤が決まった後も引き継ぎなどで仕事が忙しく、平日に細かく動くのが難しく、そうなると自然と実務の多くを私が引き受けることになります。転勤するのは夫なのに、生活を立て直すために動き回るのは妻、という構図になりやすいと毎回痛感していますね。物理的な忙しさもそうですが、「私一人がこの家族の移動を背負っている」という孤独感のようなものが、じわじわと肩にのしかかってくるんですよね。
このあたりは夫婦の普段のバランスなんかも関係してるとは思いますが、家事負担と同等で(泣)ほぼ私が動いてましたね。自分の予定はすべて後回し。家族が新しい土地でスムーズに生活を始められるように、ひたすら黒子に徹する毎日が始まります。
「考え続けている負担」という、見えにくい重圧
Q. 周囲からは見えにくいけれど、実は大きい負担だと感じることはありますか?
Aさん 「考え続けている負担」だと思います。手続きをしている時間や荷造りをしている時間は、目に見える大変さですよね。でも実際には、その前後もずっと頭をフル回転させています。何を優先すべきか、子供にはいつどう伝えるか、新しい地域でやっていけるのか。頭の中がずっと休まらないんです。
周りから見ると、ただ慌ただしく動いているように見えるかもしれませんが、見えないところで常に気を張っている状態です。全部終わったあとに、やっと自分がかなり疲れていたことに気づくことも多いです。
自分を労わる時間を後回しにしてしまう、そんな「無理をしない選択」が極めて難しいのが、この時期の隠れたしんどさではないでしょうか。
慌ただしい引越し準備の裏側で、Aさんが抱えていたのは孤独な責任感でした。事務的な手続き以上に親として神経を研ぎ澄ますのが、子供の環境変化です。次回は、親子で揺れる転校手続きのリアルに迫ります!

