リモートワークの定着により、会議のオンライン化は多くの企業で当たり前の風景となりました。しかし一方で、子育て中の社員にとっては、リモート会議が必ずしも「参加しやすい場」になっていないという声も少なくありません。
特に、育児と仕事を同時に担う社員にとって、会議時間や進め方への配慮が不足していると、参加そのものが心理的・物理的な負担になるケースも見受けられます。こうした状況が続くと、発言機会の減少や評価への不安につながり、エンゲージメント低下や離職リスクを高める要因になりかねません。
本記事では、子育て社員が安心してリモート会議に参加できる環境を整えるために、企業や管理職がすぐに実践できる工夫について、具体策を交えながら分かりやすくまとめております。
子育て社員が参加しやすい会議づくりの要点整理
リモート会議を「誰にとっても参加しやすい場」にするためには、単なるツール導入だけでは不十分です。時間設計、進行方法、発言機会の設計、心理的安全性の確保など、複数の視点からの工夫が求められます。
とりわけ子育て社員の場合、突発的な対応が求められる場面も多く、一般社員と同じ参加条件を前提にしてしまうと不公平感が生まれやすいとされています。本章では、後述する具体策を理解するための全体像を整理します。
子育て社員がリモート会議で抱えやすい課題と背景
子育て社員がリモート会議に参加する際には、表面化しにくい複合的な課題が存在します。ここでは、現場でよく見られる代表的な課題と、その根本要因を整理します。
会議時間と生活リズムの不一致
保育園の送迎や子どもの体調不良など、子育て社員は日々のスケジュールが変動しやすい状況にあります。しかし、会議が始業直後や終業間際、あるいは夕方以降に設定されている場合、参加そのものが難しくなるケースが生じます。
この背景には、「全員が同じ時間帯に参加できる」という前提のまま会議設計が行われている点が根本原因として挙げられます。
発言しづらい雰囲気と心理的負担
子どもの声や生活音が入ることを気にして、カメラやマイクのオンをためらう社員も少なくありません。その結果、発言機会が減り、会議への関与度が下がってしまうという悪循環が生まれます。
これは、リモート会議における心理的安全性の不足が要因となっており、個人の問題ではなく組織文化の課題といえます。
評価や情報格差への不安
会議中に十分な発言ができない、途中退席を余儀なくされるといった状況が続くと、「会議に参加していないと思われるのではないか」「評価に影響するのではないか」といった不安を抱く社員もいます。
こうした不安は、参加できないこと自体が不利になるのではないかという疑念を生み、エンゲージメント低下につながる可能性があります。
子育て社員が参加しやすくなる工夫5選
ここからは、現場ですぐに取り入れることができ、かつ効果が期待できる具体的な工夫を5つご紹介します。いずれも大規模な制度変更を伴わず、会議運営の見直しだけで実践可能な内容です。
① 会議時間帯を固定化・分散化する
会議の時間帯は、子育て社員の生活リズムを踏まえて設定することが重要です。たとえば、保育園の送迎が集中する朝夕を避け、日中の時間帯に固定するといった工夫が考えられます。
会議は「業務の都合」だけでなく「生活との両立」を前提に設計するという視点が不可欠です。
② アジェンダと資料は事前共有を徹底
事前にアジェンダと資料を共有しておくことで、当日すべての時間帯にフル参加できなくても、内容の把握や意見準備が可能になります。これにより、途中参加や途中退席への心理的ハードルも下がります。
属人化しがちな会議運営を見直し、誰が参加しても同じ情報にアクセスできる状態をつくることがポイントです。
③ チャット参加や音声オフ参加を許容する
子どもの世話をしながら参加する場面では、音声やカメラの常時オンが難しいこともあります。そうした場合でも、チャットでの発言やリアクションを認めることで、参加障壁を大きく下げることができます。
「声を出さなければ参加ではない」という固定観念を捨てることが、会議の多様性を高める第一歩となります。
④ ファシリテーターが発言機会を意識的に設計
子育て社員に限らず、リモート会議では特定のメンバーだけが発言しがちです。ファシリテーターが意識的に発言機会を振ることで、参加度の偏りを是正できます。
- 順番に意見を求める
- チャットコメントを拾い上げる
- 後から意見提出の時間を設ける
こうした配慮が、発言しやすい空気づくりにつながります。
⑤ 会議録を共有し、参加できなくても不利にならない仕組みをつくる
やむを得ず欠席・途中退席した場合でも、会議録を共有することで情報格差を防ぐことができます。意思決定の背景や論点を可視化することで、「参加できなかった=不利」という印象を払拭できます。
| 会議録の共有 | 情報格差の解消 |
| 決定事項の明文化 | 認識違いの防止 |
参加できなくても評価や情報面で不利にならない環境づくりが、長期的な定着につながります。
子育て社員が参加しやすい会議は、すべての社員にとっても「無理のない会議」になります。
会議改善を通じた職場改革の実践事例
ここでは、リモート会議の改善を通じて、子育て社員の参加率向上とチーム力の底上げを実現した企業の取り組みをご紹介します。
A社:コアタイム内会議ルールの導入
A社では、リモート会議は原則コアタイム内に実施するというルールを明確化しました。これにより、送迎や家庭対応と重なりにくくなり、子育て社員の会議参加率が大きく向上しました。
加えて、会議資料の事前共有を徹底したことで、短時間参加でも生産性が維持できる体制を整えています。
B社:チャット参加を正式ルール化
B社では、会議中のチャット発言を正式な意見として扱う運用に変更しました。音声発言が難しい社員でも、意見を出しやすい環境が整い、子育て社員の発言数が増加したという成果が報告されています。
声を出せなくても意見が反映されるので、心理的な負担が大きく軽減されました。
参加しやすいリモート会議が生む組織の好循環
リモート会議の工夫は、子育て社員だけを対象とした特別対応ではありません。多様な事情を抱える社員が無理なく参加できる場をつくることは、組織全体の生産性とエンゲージメントを高める重要な取り組みです。
会議への参加しやすさが向上すれば、情報共有の質が高まり、心理的安全性も醸成されます。その結果、発言の活性化や意思決定のスピード向上といった好循環が生まれていきます。
そのためにも、ぜひ、本記事で解説したリモート会議で子育て社員が参加しやすくなる工夫5選を、貴社の実情に合わせて実践ください。
(執筆・編集:エムダブ編集部)

