夫の転勤でも諦めない!リモートで実現する“どこでも働ける”キャリア戦略

配偶者の転勤に伴い、これまで積み重ねてきたキャリアを中断せざるを得ない――。こうした課題は今もなお多くの現場で見られ、特に女性社員の離職理由として根強く残っています。

一方で、近年はリモートワークの定着と制度設計の高度化により、居住地に縛られず働き続けられる環境を整える企業も増えてきました。

本記事では、転勤というライフイベントをキャリアの断絶にしないための考え方と、企業として今すぐ取り組める実践ポイントについて内容を整理してまとめております。

目次

転勤とキャリア継続をめぐる現状と課題の全体像

転勤に伴う離職は、本人の意思だけでなく制度や職場風土の影響も大きいとされています。ここでは、現場で起きている代表的な課題を整理しながら、その根本要因まで掘り下げていきます。

転勤=退職という固定観念が残っている

「夫の転勤が決まったら退職するしかない」という認識は、今も少なからず存在しています。現象としては、辞令後すぐに退職の相談が入るケースが挙げられます。

その背景には、勤務地と業務が強く結びついた従来型の働き方や、リモート対応業務の切り分けが進んでいない体制があると指摘されています。

制度はあっても運用が追いついていない

リモートワーク制度を整えていても、実際には「特例扱い」「一部職種のみ可」という限定的な運用に留まっている企業も少なくありません。

その結果、制度はあるのに使えないという不満が生まれ、エンゲージメント低下や成長機会の喪失感につながってしまうケースがあります。

上司・同僚の理解不足による心理的ハードル

リモートでの継続勤務に対し、「評価が下がるのでは」「周囲に迷惑がかかるのでは」といった不安を抱える社員も少なくありません。

制度の課題だけでなく、職場風土やマネジメント側の意識が、結果的に離職を後押ししてしまう構図も見られます。

転勤による離職は、制度不足だけでなく「運用・風土・心理」の三層構造で起きている点が重要です。 

どこでも働ける環境をつくるための具体施策

転勤を理由としたキャリア断絶を防ぐためには、制度と現場運用の両輪での改善が不可欠となっています。ここではすぐに着手できる実践策を整理します。

業務のリモート適合度を可視化する

まず着手したいのは、どの業務がリモート対応可能なのかを明確にすることです。属人化している業務や紙ベースの作業が多い部門ほど、転勤対応は難しくなります。

  • 業務を「完全リモート可」「一部出社必要」「原則出社」に分類
  • 業務フローのデジタル化と標準化を推進
  • 引き継ぎ前提の業務設計へ見直し

評価制度を勤務地非依存型へ転換する

リモート勤務でも正当に評価される仕組みがなければ、安心してキャリア継続を選択できません。成果基準の明確化やOKRなどの導入が有効とされています。

「どこで働くか」ではなく「何を達成したか」に軸足を置いた評価設計が不可欠です。

本人と上司の事前対話を制度化する

転勤が視野に入った段階で、キャリアや働き方の選択肢をすり合わせておくことも重要です。突然の決断ではなく、複数案を準備することで心理的負担も軽減されます。

転勤が決まってから慌てるのではなく、早めの対話が安心につながります。

リモートによる転勤対応を実現した企業事例

ここでは、実際に「転勤=退職」を防ぐ仕組みづくりに成功した企業の取り組みを紹介します。いずれも特別なIT投資ではなく、運用面の工夫が中心となっています。

A社:全国どこでも勤務可能な営業体制へ再設計

A社では、営業職について従来は原則出社としていましたが、顧客対応のオンライン化を進め、勤務地に依存しない体制へ移行しました。

その結果、夫の転勤に伴い地方へ転居した社員も、担当顧客を引き継ぎながらキャリアを継続できるようになっています。

B社:評価制度と育成プログラムを同時に刷新

B社では、リモート対象者が評価で不利にならないよう、成果指標を数値化し、上司との1on1面談を義務化しました。

これにより、リモート勤務者の昇進率が対面勤務者とほぼ同水準まで改善したとされています。

A社 営業業務の完全オンライン化、顧客対応の標準化
B社 成果基準評価の導入、1on1の制度化

転勤とキャリアの両立がもたらす企業側のメリット

転勤対応制度は、従業員のためだけの仕組みではありません。実は企業側にとっても多くのメリットが挙げられます。

  • 優秀人材の流出防止
  • 採用コスト・育成コストの抑制
  • 多様な働き方による組織の柔軟性向上

これらはすべて、中長期的な競争力強化につながる重要な視点です。

転勤を理由にキャリアを諦めない社会を実現するために

転勤がキャリアの分岐点となり、退職か継続かの二択を迫られる状況は、少しずつ変わりつつあります。リモートワークという選択肢を前提に制度と風土を整えることで、働き続けたいという意思を尊重することが可能です。

そのためには、業務設計・評価制度・マネジメント意識の三位一体改革が不可欠となっています。単なる制度導入ではなく、現場で「安心して使える」状態まで落とし込むことが重要です。

そのためにも、ぜひ、本記事で解説した転勤対応とリモートワーク活用の具体策を実践ください。

(執筆・編集:エムダブ編集部)

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