入社9年目、仕事と子育てを両立!女性管理職の本音

「子どもが小さいうちは正社員は難しい」——そんな空気を感じた経験のある方は、少なくないのではないでしょうか。電気工事から周辺の環境整備までワンストップで製造現場をサポートする株式会社電建では、約10年前から子育て中の女性を正社員として受け入れ、育休復帰や業務の仕組みづくりに取り組んできました。今回は代表取締役の松本さんと、入社9年目・育休復帰を経て現在も活躍中の事務スタッフ・佐藤さんに、リアルな試行錯誤と「これからの働き方」への思いを伺いました。

登場人物
わたしリズムWebマガジン編集部 徳林
「リアル3拠点生活」を実践中のわたしリズムWebマガジン編集部員。

株式会社電建 松本さん
代表取締役。大阪・尼崎で製造業特化の電気工事事業を展開。あらゆる人が働ける環境づくりと社員の成長支援に取り組む。

株式会社電建 佐藤さん
2017年入社、総務経理担当。産休・育休を経て復帰し、現在も活躍中。

目次

事務員ひとりからスタート。電気工事の現場で積み上げた9年間

徳林:佐藤さんは2017年に入社されて、今で9年目になるんですね。入社当初はどのような業務をされていたのでしょうか?
佐藤さん:当時は事務員が私ひとりだけでした。総務・経理から工事の事務作業まで、全体を通してひとりでやっていた感じです。会社の規模も今の半分ほどだったので、業務の幅は広かったですが、量としては今よりは少なかったですね。

その後、スタッフが増えるにつれて、総務経理部と工事部門で業務を切り分けるようになっていきました。パートスタッフにも入っていただき、請求書の準備や社内書類の作成をお任せできるようになったのが、5年ほど前のことです。
徳林:前職の経験は活かせましたか?また、マニュアル整備なども進めてこられたのでしょうか?
佐藤さん:前職は建設会社での営業事務でした。同じ建設業で通じる部分もあるかなと思っていたのですが、事務作業的なところはほぼ別物で。前任の方の引き継ぎ書と過去の資料を頼りに、積み上げていきました。

マニュアルはもともとほとんどなかったので、パートスタッフが入ってくれたタイミングをきっかけに、少しずつ整えていきました。左の画面で作業を説明しながら右の画面でマニュアルを作る、みたいなことを繰り返しながら、だんだん形にしていった感じです。

「子どもが小さいから休む」——それでも採用を決めた、社長の本音

徳林:松本さんは、子育て中の女性を正社員として採用することに当初から前向きだったのでしょうか?
松本さん:佐藤さんを採用しようとした時、実は知り合いに止められたんですよ。「子どもが小さいから休むよ」って。それはまあ、そうやろうな、とは思いました。でも、子どもが小さい時期ってほんの一瞬じゃないですか。その間を大切にしてほしいけど、働くことも大事。両方をうまくできるようにするにはどうしたらいいか、と考えたんです。

そのころはまだ、小さい子どもがいると正社員になれない時代でした。でも、女性が働く機会を失うことは、会社にとっても社会にとっても損失だと、当時からそう感じていました。
徳林:電気工事や建設の業界は、女性比率がなかなか上がらないイメージがありますが、そのあたりはいかがですか?
松本さん:私自身は昭和生まれで、実は女性に対する考え方を変えてくれたのが佐藤さんだったんです。もし権利だけ主張してくる社員だったら、正直また違う印象を持っていたかもしれません。でも彼女がそうじゃなかったから、育休のことも「じゃあどうしたらいいだろう」と素直に考えることができました。

彼女がいなかったら、きっと考えなかったでしょうね。それは間違いないと思っています。

育休中に後輩が急成長。「一人に頼らない」組織へ変わったこと

徳林:佐藤さんが育休を取られた時、会社としてどのように体制を整えたのでしょうか?
松本さん:意外とスムーズでした。後輩の担当者とパートスタッフ数名に業務を引き継いでもらったんですが、正直なところ、一人に仕事が集中してしまうことへの心配はありました。でも、そのおかげで後輩が本当に成長してくれたんです。

そうせざるを得ない状況を、みんながよく乗り越えてくれた。振り返ると、あれは奇跡的なことだったと思っています。感謝しかないですね。
徳林:佐藤さんは、復帰してみてどう感じましたか?
佐藤さん:復帰後は総務経理がメインで、今は後輩と2人で担当しています。育休前とは体制が変わっていたので、良い意味で頼れる人が増えていた感じでした。当初ひとりで全部抱えていた頃と比べると、だいぶ組織らしくなってきたな、と感じています。

今振り返ると、育休があったことで、会社としての仕組みが整っていったような気もしています。

「管理職を目指しなさい」——女性の可能性を信じる社長のビジョン

徳林:今後の組織づくりや、社員の成長支援についてのお考えをお聞かせください。
松本さん:今は国も会社も、女性が活躍できないと伸びないと思っています。だから佐藤さんにも伝えているんです。「管理職を目指しなさい」と。「私なんか」と思っている人は多いけれど、その「なんか」の理由ってなんですか、という話なんですよ。だいたい思い込みなんです。

女性は幅広く動けるし、人間力もある。どんどん管理職に座ってほしいと、本気でそう思っています。
徳林:成長を後押しする上で、具体的に取り組んでいることはありますか?
松本さん:まずは思い込みをほぐすことから始めています。「いやいや、できるやん」って。そのうえで、勉強会に一緒に連れて行ったり、本人が興味を持った研修には積極的に参加してもらったりしています。AIの時代になっても、人間力は誰にも奪われない。それを信じて、どこへ行っても使えるスキルと人間力を一緒に育てていきたいと思っています。
徳林:最後に、自分の働き方に悩んでいる方へ、それぞれメッセージをいただけますか?
佐藤さん:電建に入って、働くことの概念がすごく変わりました。以前は、与えられた仕事をこなすことが仕事だと思っていたんです。でも今は、仕事を通じて自分が成長すること、そしてそれが子育てにも人間関係にも生かされていることを実感しています。

働きがいが、生きがいになっていく感覚というか。そういう視点をちょっと持つだけで、働くことがすごく楽しくなってくると思うので、ぜひ一度試してみてほしいです。
松本さん:仕事をする時に、「誰かのために」という気持ちを抑えておくと、後々すごく楽になると思います。自分が満たされるよりも、自分が提供する側に回った方が実は満たされる。それに気づいた時から、働くことへの向き合い方が変わる気がしています。

若いうちはなかなか気づきにくいかもしれませんが、それに早く気づいた分だけ、きっと豊かになれると思っています。

編集部 徳林のまとめ

「子どもが小さいから休む」という言葉を理由に、採用をためらう会社がまだ多い中、電建の松本社長は「それは一瞬のこと」と言い切り、当時まだ珍しかった子育て中の女性の正社員採用に踏み切りました。その決断が、9年間かけて組織の仕組みを育て、育休中の引き継ぎという試練さえも「後輩の成長の場」に変えていきました。

佐藤さんが語る「働きがいが、生きがいになる」という言葉も印象的でした。子育てとキャリアの両立に悩んでいる方はもちろん、今の働き方に何か物足りなさを感じている方にも、きっとヒントがある取材でした。

あなたが今の仕事に感じていること——それは「こなす」だけになっていませんか?

取材した企業について
企業名株式会社電建
事業内容高圧受変電設備工事、電気設備工事、空調・換気設備、照明・内装工事、電源工事、通信関連設備、防犯・防災設備、その他電気機器販売など。
所在地〒660-0805 兵庫県尼崎市西長洲町1丁目2-45
サイトURLhttps://www.m-denken.com/

※ 本記事の内容は、2026年4月6日取材当時のものです。

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