育児と仕事を両立する「働くママ」の存在は、もはや一部の社員ではなく、企業活動を支える重要な戦力となっています。一方で、現場では「本音が拾いきれない」「制度を整えたのに離職が減らない」といった声も多く聞かれます。その背景には、声を集める仕組みはあっても、十分に活かしきれていない実態があるとされています。
働くママは、時間的な制約や体力的な負担、周囲への遠慮などから、不満や要望を表に出しづらい傾向があります。だからこそ企業が意識的に声を拾う仕組みを整えることが、職場改革の出発点となります。アンケートは単なる意見回収の手段ではなく、信頼関係を築くための重要な対話ツールなのです。
しかし、アンケートを実施しても「集めただけ」で終わってしまうケースは少なくありません。本記事では、働くママの声を正しく集め、職場改善につなげるための社内アンケートの設計・運用・活用方法について、すぐに試せる具体策を中心に内容を分かりやすくまとめております。
働くママの声が職場に反映されない理由と構造
社内アンケートを実施しても、働くママの声が十分に反映されない背景には、運用面や組織文化に根差した複数の課題が存在します。表面的な「回答が少ない」「意見が曖昧」といった現象だけでなく、その根本原因を理解することが、改善への第一歩となります。
本音を書けない心理的ハードルの存在
働くママの多くは、「評価に影響するのでは」「わがままだと思われたくない」といった不安を抱えながら働いているとされています。そのため、たとえ匿名アンケートであっても、踏み込んだ本音を書きにくいケースが少なくありません。
この心理的ハードルの背景には、上司との関係性や職場の心理的安全性の不足があると指摘されています。
質問設計が曖昧で課題が見えない
「働きやすいですか」「困っていることはありますか」といった抽象的な設問では、具体的な改善点が見えにくくなります。結果として、集まる回答も感想レベルにとどまり、実務改善につながらないという悪循環が生じます。
これは、アンケートを「調査」ではなく「形式的な確認作業」として捉えてしまっていることが原因となっている場合が多いです。
集計後に活用されず不信感が蓄積する
回答したにもかかわらず、その後のフィードバックや改善が見えなければ、「どうせ言っても変わらない」という諦めが広がります。この状態が続くと、次回以降の回答率が下がり、より本音が集まりにくくなるという負の連鎖に陥ります。
- アンケート結果の社内共有がない
- 改善の進捗が見えない
- 誰が対応しているのか分からない
こうした状況は、エンゲージメント低下や組織への不信感につながり、結果的に離職リスクを高めてしまいます。
働くママの声が活かされない本質的な原因は、「集め方」よりも「活かし方」にあるケースが多いのです。
働くママの声を引き出すアンケート設計と運用の勘所
働くママのリアルな声を引き出し、実効性のある改善につなげるには、アンケートの設計と運用に明確な工夫が必要です。ここでは、すぐに実践できる具体策を整理します。
安心して答えられる「匿名性」と「目的の明示」
まず重要なのは、回答者が安心して本音を書ける環境を整えることです。完全匿名であることを明示するとともに、「今回の結果は何のために使うのか」「どこまで共有されるのか」を事前に丁寧に説明する必要があります。
目的が不明確なアンケートは、警戒心を生み、本音を遠ざけます。
定量と定性を組み合わせた設問設計
満足度を測る5段階評価などの定量設問に加え、「その理由」「改善してほしい点」を自由記述で回答できる設問を必ず組み合わせることが重要です。数値だけでは見えない感情や背景が、自由記述から浮かび上がってきます。
育児と仕事の両立に特化した質問項目の設定
全社員向けと同じ設問ではなく、働くママ特有の課題に踏み込んだ質問を設けることで、実態に即したデータが得られます。
- 時短勤務や在宅勤務の利用しやすさ
- 急な休みへの職場の理解度
- 評価やキャリアに対する不安
- 上司とのコミュニケーション状況
これらの設問は、制度と現場運用のズレを可視化する重要な手掛かりとなります。
実施頻度とタイミングの最適化
年1回だけのアンケートでは、変化のスピードについていけません。育休復帰後や制度変更後など、節目のタイミングで簡易アンケートを実施することで、より鮮度の高い課題を把握できます。
| 育休復帰直後 | 業務負荷、周囲のサポート状況 |
| 復帰3~6か月後 | 評価への不安、業務定着度 |
| 制度変更後 | 制度の使いやすさ、運用上の問題点 |
アンケート結果を「改善」に変える企業の実践事例
アンケートを成果につなげている企業は、「集めた後」の動きが早く、かつ丁寧です。ここでは、働くママの声を活かした代表的な取り組み事例をご紹介します。
A社:アンケート結果の全社共有と改善宣言
A社では、働くママ向けアンケートの集計結果を全社員に公開し、「改善が必要な上位3項目」を明確に示しました。そのうえで、担当部署と改善期限を設定し、進捗を定期的に共有しています。
この取り組みにより、「声が経営に届いている」という実感が醸成されたとされています。
B社:アンケートと1on1面談の連動
B社では、アンケート結果をもとに、上司が働くママとの1on1面談を実施しています。数値では捉えきれない背景や本人の本音を丁寧に聞き取ることで、個別最適な支援策につなげています。
「アンケートをきっかけに初めて上司に本音を話せた」という声が多く寄せられました。
- 結果の見える化による納得感の向上
- 現場レベルでの対話の促進
- スピーディーな改善着手
これらの企業に共通しているのは、アンケートを「調査」ではなく「組織変革の起点」として位置付けている点です。
働くママの声を起点に職場改革を加速させるために
働くママの声を拾い、活かす社内アンケートは、単なる満足度調査ではなく、職場改革を前進させるための重要な経営ツールです。設計段階から「集めた後どう動くか」を見据えることで、初めて実効性のある施策へとつながります。
声を拾うだけでなく、必ず「応答する姿勢」を示すことが、信頼を育み、エンゲージメントを高める鍵となります。働くママが安心して意見を発信できる環境は、結果としてすべての社員にとって働きやすい職場へと波及していきます。
そのためにも、ぜひ、本記事で解説した社内アンケートの設計ポイントと、結果の活かし方を実践ください。 (執筆・編集:エムダブ編集部)

