仕事と家庭や人生設計を両立させながら、自分らしいキャリアを築き続けたいと願う女性は増えています。しかし実際には、妊娠・出産・育児・介護などのライフステージの変化によって、キャリアを中断せざるを得ないケースが依然として少なくありません。企業側も離職防止や優秀な人材の確保が重要課題となっており、柔軟な働き方の導入は待ったなしの状況です。
そこで注目されているのが、女性がキャリアを諦めずに働き続けられる「柔軟な働き方の選択肢」を企業として整えることです。これらは単なる制度づくりではなく、従業員のエンゲージメント向上や組織改革にも直結するとされています。
本記事では、柔軟な働き方を実現するための具体的な選択肢と、企業が導入する際のポイントをまとめております。
柔軟な働き方が求められる背景と課題
女性がキャリアを継続できる環境整備は、多くの企業にとって喫緊のテーマとなっています。背景には、働き方の多様化だけでなく、少子化や人材流動性の高まりなど社会全体の構造変化があります。柔軟な働き方が選べない職場では、離職やキャリア停滞を招きやすく、企業にとっても大きな損失となるためです。
ライフステージに伴う働きづらさの顕在化
妊娠や育児だけでなく、近年は「親の介護」も女性に偏りやすい負担として課題視されています。この局面で働き方の柔軟性がないと、フルタイム勤務が困難になり、結果的に離職を選ばざるを得ないケースが見られます。
業務の属人化による負担増
属人化した業務が多い職場では、不在時に業務が回らず、休みにくい環境を生みます。これは従業員の心理的負担を強め、エンゲージメント低下を招くと指摘されています。柔軟な働き方を導入する前提として、業務の標準化や可視化が不可欠となります。
評価制度の硬直化
時間や出社を重視した評価制度は、柔軟な働き方を阻害する要因となります。成果に基づいた評価への転換ができていないと、時短勤務やリモート勤務の従業員は不利になり、キャリアの停滞感を抱きやすくなる傾向があります。
管理職側のマネジメント負荷
多様な働き方を受け入れるためには、管理職側のマネジメント能力も問われます。コミュニケーションの取り方や業務調整、成果管理など、従来よりも高度なスキルが求められるため、管理職育成が課題となっています。
女性のキャリア継続につながる柔軟な働き方の選択肢
ここからは、企業が導入しやすく、効果が高いとされる柔軟な働き方の選択肢を紹介します。
①リモートワークの常設運用
リモートワークはすでに一般化しつつありますが、常設で運用できるかどうかが大きな差を生みます。移動負担が減るだけでなく、育児・介護との両立がしやすくなる点が大きな利点です。
リモートワークは、女性の離職防止において最も効果が高い施策の1つとされています。
- 業務のオンライン化
- 情報共有ツールの統一
- セキュリティポリシー整備
これらをセットで整えることで、組織として安心してリモートワークを運用できます。
②フレックスタイム制度
通院や保育園送迎、介護対応などに柔軟に対応できるため、女性からのニーズが非常に高い制度です。時間の制約を緩和することで、ストレス軽減やモチベーション向上につながることが報告されています。
急な予定が入っても働き続けられる安心感が得られます
③パートナーシップ勤務(週休3日など)
フルタイムにこだわらず、多様な労働時間モデルを用意することで、ライフイベントと両立しやすくなります。キャリア形成において「一時的な中断」を防ぐための選択肢として注目されています。
| 週休3日 | 育児・介護期に負担軽減 |
| 時短フルタイム | キャリア継続と成果評価を両立 |
④キャリア自律支援プログラム
スキルアップ研修、メンター制度、社内公募制度など、キャリアの選択肢を広げる施策です。女性が長期視点でキャリアを描けるようになることで、離職率低下につながります。
⑤育児・介護サポート制度の強化
企業主導の補助制度や育児支援サービスの提供は、従業員の安心感につながります。また、男性の育児参加を促進する制度があると、女性に偏る負担の軽減につながるという指摘もあります。
まとめ
女性がキャリアを諦めずに働き続けるためには、企業が柔軟な働き方を複数用意し、従業員が自分らしい働き方を選べる環境を整えることが不可欠です。制度の導入はもちろん、業務の標準化や評価制度の見直し、管理職のマネジメントスキル向上など、組織全体で取り組むことが求められます。
本記事で紹介した柔軟な働き方の選択肢は、すぐに導入できる施策も多く、企業の離職防止や組織力強化にも大きな効果があります。そのためにも、ぜひ、本記事で解説した柔軟な働き方を実践ください。
(執筆・編集:エムダブ編集部)

