育児社員のモチベーションを維持する社内イベント案

少子化や人材不足が深刻化する中、育児中の社員が安心して働き続けられる環境づくりは、企業にとって喫緊の経営課題となっています。制度面の整備が進む一方で、「制度はあるが、職場の空気が追いついていない」と感じている育児社員も少なくありません。

とりわけ、周囲との心理的な距離や疎外感は、エンゲージメントの低下やキャリア意欲の減退につながる要因とされています。その中で近年注目されているのが、育児社員も無理なく参加でき、組織とのつながりを実感できる「社内イベント」の存在です。

単なる福利厚生としてではなく、組織文化の醸成やモチベーション維持の施策として社内イベントを再設計することが、今まさに求められています。本記事では、育児社員のモチベーションを維持・向上させる社内イベントの考え方と具体策について内容をまとめております。

目次

育児社員のモチベーション低下が起こる背景と課題

育児社員のモチベーション低下は、個人の問題ではなく、組織構造や職場風土に起因するケースが多く見られます。ここでは、現場でよく見られる課題と、その根本原因を整理します。

時間制約による「参加できない」疎外感

育児中の社員は、保育園の送迎や家事・育児との両立により、定時後の飲み会や突発的なイベントへの参加が難しい状況にあります。その結果、「誘われない」「参加できない」という状態が続き、職場との心理的距離が広がってしまいます。

この現象の根本には、イベントの設計自体が“時間に余裕のある人前提”になっている点が挙げられます。

キャリア停滞への不安と評価への影響

育児と仕事の両立により、突発的な欠勤や時短勤務を余儀なくされる場面も少なくありません。その積み重ねが、「評価が下がるのではないか」「重要な仕事を任せてもらえないのでは」といった不安につながります。

この不安は、モチベーションの低下だけでなく、長期的なキャリア形成への諦めを生み、結果として離職意向を高める要因になると指摘されています。

周囲との温度差による心理的孤立

育児社員とそうでない社員との間に、働き方や時間の使い方に大きな差が生まれることで、互いに理解し合えない状況が生じることがあります。育児社員は「気を遣わせているのでは」と感じ、周囲は「負担が増えている」と感じる場合もあります。

このすれ違いが蓄積すると、職場内の信頼関係やチームワークの低下を招き、組織全体の生産性にも影響を与えかねません。

育児社員の意欲を高める社内イベント設計の基本方針

育児社員のモチベーションを維持・向上させるためには、単にイベントを開催するだけでは不十分です。重要なのは、「誰のためのイベントなのか」「何を目的とするのか」を明確にした上で設計することです。

目的は「参加率」ではなく「心理的つながり」

多くの企業で陥りがちなのが、参加人数や盛り上がりだけを指標にしてしまう点です。しかし本来の目的は、育児社員を含むすべての社員が組織とのつながりを実感し、安心して働ける状態をつくることにあります。

「楽しさ」よりも「安心感」と「承認」が得られる設計が、結果的にモチベーション向上へとつながります。

就業時間内または短時間開催を基本とする

育児社員が無理なく参加できるよう、就業時間内の開催や、昼休みを活用した短時間イベントが有効とされています。終業後の参加を前提としないことで、「参加できない罪悪感」を抱かせない配慮が可能です。

オンラインとオフラインの併用

ハイブリッドワークが広がる中、オンライン参加を前提としたイベント設計も不可欠となっています。自宅からでも参加できる仕組みは、育児社員にとって大きな心理的ハードル低下につながります。

社内イベント設計で意識したい3つの視点 ・育児社員が物理的、心理的に参加しやすいか ・組織とのつながりが感じられる内容か ・負担や不公平感を生まない設計か

育児社員のモチベーションを高めた社内イベント事例

ここでは、実際に育児社員のエンゲージメント向上につながった企業の取り組みを、具体例としてご紹介します。いずれも特別な予算をかけず、工夫次第で実施できる内容です。

A社の事例:昼開催の「育児共感ランチミーティング」

A社では、月に一度、昼休みを活用したオンラインランチミーティングを実施しています。育児中の社員を中心に、仕事と家庭の両立に関する悩みや工夫を共有する場として設けられました。

参加は自由で、顔出しも不要とすることで心理的ハードルを下げています。「自分だけが大変ではない」と感じられる共感の場が、離職防止に大きく寄与しているといいます。

B社の事例:子ども同伴OKの社内交流イベント

B社では、年に一度、子ども同伴参加が可能な社内イベントを開催しています。オフィス開放日として、簡単なレクリエーションや職場見学を行い、家族にも会社を知ってもらう機会としました。

これにより、育児社員は「職場に理解されている」という実感を得やすくなり、周囲の社員も育児への理解が深まったとされています。

短時間・選択参加型イベントの導入

長時間拘束されるイベントではなく、15分程度で完結するミニイベントを複数用意し、自由に参加できる形式とする企業も増えています。例えば、業務改善アイデア共有会や、成功事例のライトな発表会などが挙げられます。

このような形式であれば、育児中の社員でもスキマ時間で参加しやすく、貢献実感を得やすいというメリットがあります。

社内イベントを形骸化させないための運用ポイント

社内イベントは、導入しただけで自動的に効果が出るものではありません。継続的に機能させるためには、運用面での丁寧な設計と改善が不可欠です。

  • 参加できなかった社員への情報共有を必ず行う
  • 参加率よりも満足度や心理的効果を指標とする
  • 企画段階に育児社員を巻き込む

特に重要なのは、育児社員自身の声を反映させることです。一方的に「やってあげる」施策ではなく、共に創る姿勢がエンゲージメント向上の鍵となります。

「参加しやすい時間帯に変更してもらえただけで、気持ちが楽になりました」

このような小さな配慮の積み重ねが、育児社員の安心感と定着意欲を着実に高めていきます。

社内イベントを通じて育児社員が安心して働ける組織へ

育児社員のモチベーション低下は、制度不足だけでなく、日常的なコミュニケーションや組織文化の問題が大きく影響しています。社内イベントは、そのギャップを埋める有効な手段の一つです。

特別な取り組みをしなくても、時間帯の工夫やオンライン活用、心理的配慮を重ねることで、育児社員が「ここで働き続けたい」と感じられる環境づくりは十分に可能です。イベントは“特別な催し”ではなく、“日常の延長線”として位置づける視点が重要といえるでしょう。

育児と仕事の両立を支え、モチベーションを維持することは、結果として企業全体の生産性と持続的成長につながります。そのためにも、ぜひ、本記事で解説した育児社員のモチベーションを高める社内イベント施策を実践ください。

(執筆・編集:エムダブ編集部)

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