美容業界で働くママのリアルな悩みと離職を防ぐ新しい制度

育児と仕事の両立が難しいと言われる美容業界。産後に職場復帰できず、キャリアを諦めてしまう女性も少なくありません。「子育てしながら美容の仕事を続けたい」という思いがあっても、保育の確保やシフトの柔軟性、職場環境への不安など、乗り越えるべき課題は山積みです。

そんな中、メンズ眉毛サロン「眉ダンリズム」を2店舗運営する株式会社アメリストでは、企業主導型保育園との提携による保育費補助、週休2日・3日の選択制、時短勤務への対応など、女性スタッフが長く活躍できる環境づくりに力を入れています。施術スタッフは全員女性で、安心して働くための細やかな配慮も随所に光ります。

今回は、代表取締役の西山さんに、その取り組みの背景や具体的な制度についてお伺いしました。

登場人物
わたしリズムWebマガジン編集部 徳林
「リアル3拠点生活」を実践中のわたしリズムWebマガジン編集部員。

株式会社アメリスト 西山さん
メンズ眉毛サロン「眉ダンリズム」を2店舗運営する株式会社アメリスト代表取締役。女性スタッフが長く活躍できる環境づくりに取り組んでいる。
目次

施術スタッフは全員女性。メンズサロンで安心して働くための工夫

徳林
まず、スタッフ構成と西山さんご自身の役割について教えてください。
西山さん
施術スタッフは全員女性です。私はどちらかというと採用や集客の仕組みづくりなどのサポート側が中心で、実際の施術現場はスタッフに任せています。もともと広告業界出身なので、そのノウハウを活かしながら、働く女性にとって何が必要かを現場の声を聞きながら積み上げてきました。

メンズ専門という業態だからこそ、スタッフが安心して長く働ける環境づくりは、最初から大切なテーマでした。
徳林
メンズ専用サロンで女性スタッフが個室に入るとなると、不安を感じることもあるかと思います。その点はどう対応されていますか?
西山さん
店舗は必ずテナントビルにしか出さないというルールを徹底しています。マンションの一室だと、働く側も気持ち的に落ち着かない部分がありますが、テナントの個室なら上部が開放されていますし、安心感がまったく違います。

採用時にはサロン見学もしてもらっていますし、眉毛の施術中はお客様の視界が遮られる状態でもあります。3年間運営してきてトラブルは一度もありませんでした。
徳林
名札にも独自のルールがあると伺いました。
西山さん
名札には本名を入れないというルールを全員に徹底しています。スタッフにはニックネームや別の名前で対応してもらっていて、メンズサロンという業態上、本名が調べられたりするリスクを考えると必要な配慮だと思っています。

細かいことに思えるかもしれませんが、スタッフが安心して仕事に集中できる環境のために欠かせないルールです。入社時にきちんと説明して、全員に取り組んでもらっています。

「保育費ゼロ」で働ける——企業主導型保育園との提携という選択肢

徳林
子育て中のスタッフへの支援として、具体的にどのような取り組みをされていますか?
西山さん
企業主導型保育園との提携を結んでいます。現在6か所ほど提携していて、完全無料で利用できる保育園が3か所程度あります。他にも月2万円まで会社が負担するという形の提携先もあって、子どもを持つスタッフが保育の心配なく働ける環境を整えたいと思っています。

提携保育園のなかには外国人の先生がいて英語教育にも力を入れているところもあって、保育環境の選択肢が広いのも特徴です。
徳林
実際に利用されているスタッフはいますか?
西山さん
まだ実績が少ない段階ではあるのですが、「保育園の制度があると聞いて応募しました」という求職者の方もいました。子どもを持って働いている方にとって、保育の選択肢が職場を通じて広がるというのは本当に大きなメリットだと思うんです。

企業主導型保育園は、会社が提携さえすれば一般的な会社でも利用できる仕組みです。もっと広まってほしいと感じています。

週休3日でも月給は同じ。時短OK・失恋休暇も……スタッフに寄り添う制度いろいろ

徳林
週休2日と週休3日の両方が選べると伺いました。月給も同じというのが気になりました。
西山さん
週休2日・週休3日どちらでも月給25万円で募集しています。週休3日の場合は1日の勤務時間が少し長くなりますが、確実に3日休めます。応募の傾向を見ると、週休3日のほうが圧倒的に多いんですよ。

副業をされている方や、仕事と休みのメリハリをつけて働きたい方に合っているみたいですね。美容業界としては珍しい選択肢かもしれません。
徳林
時短勤務や雇用形態についてはいかがですか?
西山さん
雇用形態は正社員・契約社員・アルバイト・業務委託と複数用意していて、入社後に本人と話し合いながら選んでもらう形にしています。

育児中で「まずは短い時間から始めてみたい」という方でも、その方のペースに合わせた働き方ができるよう柔軟に対応しています。
徳林
「失恋休暇」という制度もあると聞いたんですが……これは本当に?
西山さん
あります(笑)。失恋した経緯をレポートにまとめて提出すると休暇を取れるというものです。ネタになって元気になってくれたらという気持ちで作りました。

ただ、レポートを書くのがちょっとハードルが高いらしくて、今のところ取得した人はいないんですよ。傷をえぐるような感じで、なかなか申請しにくいみたいですね。
徳林
スタッフからの声が実際に制度になったものはありますか?
西山さん
「長期休暇が欲しい」という声があったので、毎年取れるようにしています。今のスタッフは年2回、7泊8日で海外旅行に行くほどです。その期間は予約を「満席」として対応するので、お客様には影響が出ないようにしています。

1週間しっかり休んでもらうことで、また半年間頑張ってくれる。お互いにとってよい形だと感じています。

試行錯誤を続けながら、眉毛業界に夢を描けるキャリアをつくる

徳林
美容業界では採用や定着が難しいとも正直に話してくださいました。それでも制度を整え続けているのはなぜでしょうか。
西山さん
正直、美容業界での採用・定着は本当に難しい課題だと感じています。誠実に環境を整えてきたつもりでも、うまくいかないことも多くありました。でも、そういった経験を反省材料にしながら、人が入れ替わるタイミングで制度を見直すことを繰り返してきています。

既存スタッフがいる中で頻繁に変えると混乱を招くので、タイミングを見ながら改善していく。働き続けてもらえる仕組みをつくることが、現場スタッフへの一番の誠実さだと思っています。
徳林
今後のキャリアパスや展望について、スタッフへの思いも含めて聞かせてください。
西山さん
アイブロウリストとして「この仕事でしっかり稼げる」という夢を持ってもらいたいという思いがあります。今、一般社団法人 日本ダンディリスト協会を立ち上げ、確かな技術を身につけたスタッフにはインクメイク(眉タトゥー)という単価の高い施術を担当してもらえる仕組みを作っています。

現時点でも指名料込みで月40万円越えのスタッフがいますが、そこにインクメイクが加わると月70万円の収入も現実的に目指せると考えています。「この仕事でキャリアを積んでいける」と感じてもらえる環境をつくっていきたいです。
編集部徳林のまとめ

施術スタッフ全員女性というメンズ眉毛サロン「眉ダンリズム」で、代表の西山さんが取り組んでいるのは、美容業界の常識を少しずつ変えていく試みでした。企業主導型保育園との提携、週休3日でも月給25万円という柔軟な設計、名前を使わない安全配慮など、小さな積み重ねがスタッフの安心をつくっていることを感じます。

「女性が長く働ける場所をつくりたい」——その思いはまだ発展途上の部分もありながら、確かな方向性を持って進んでいました。美容業界でのキャリアを悩んでいる方にとって、こういった職場が選択肢のひとつになると嬉しいです。あなたの職場の環境づくりに、何かヒントはありましたか?

取材した企業について
企業名株式会社アメリスト
事業内容眉毛サロン事業・研修事業(メンズ眉毛サロン「眉ダンリズム」2店舗運営)
所在地〒550-0005 大阪府大阪市西区西本町2丁目1-1 RE-009(旧大金ビル)5b号室
サイトURLhttps://mayudan.com/company/

※ 本記事の内容は、2026年3月9日取材当時のものです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次